特別養護老人ホーム(特養)への入居を検討しはじめると、必ず耳にするのが「従来型」と「ユニット型」という言葉です。
「名前は聞くけれど、何が違うの?」 「うちの親にはどちらが合っているんだろう?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、それぞれの特徴やメリット・デメリットを分かりやすく解説します!
そもそも特養(特別養護老人ホーム)とは?
特養は、常に介護が必要で、自宅での生活が難しくなった高齢者の方が暮らす公的な介護施設です。 比較的費用がリーズナブルで手厚いケアが受けられます。
この特養のお部屋のタイプが、大きく分けて「従来型」と「ユニット型」の2つに分かれています。
従来型(多床室・従来型個室)とは?
昔からある、一般的なイメージの特別養護老人ホームです。
お部屋のタイプ:
- 多床室(4人部屋など): カーテンで仕切られた空間を複数人で共有します。
- 従来型個室: 個室ですが、共同スペース(食堂やリビング)が別の場所にあります。
主な特徴:
- フロアごとに大きな食堂やリビングがあり、そこで他の入居者さんと一緒に食事やレクリエーションを楽しみます。
従来型のメリット・デメリット
メリット:
- 費用が安い: ユニット型に比べて、室料(居住費)や食費が低く抑えられるため、月の負担が軽くなります。
- 賑やかで孤独を感じにくい: 多床室の場合、同室の方とのちょっとした交流や、常に誰かの気配を感じられる安心感があります。
デメリット:
- プライバシーの確保が難しい: 多床室では、カーテン一枚で仕切られているため、着替えやプライベートな時間を過ごすのが少し窮屈に感じる場合があります。
- 集団生活が中心: ペースを自分に合わせるのが難しく、他の方の生活音などが気になることがあります。
ユニット型とは?
近年増えている、プライバシーと個別ケアを重視した施設です。
お部屋のタイプ:
- 完全個室: 全室が個室となっています。
主な特徴:
- 原則として10人前後を1つのグループ(ユニット)として区切り、固定のスタッフがケアを担当します。
- 個室を出るとすぐ近くに「リビングとダイニング(共有スペース)」があり、少人数で時間を過ごします。
ユニット型のメリット・デメリット
- メリット:
- プライバシーが守られる: 完全個室なので、自分のペースでゆったりと過ごせます。思い出の家具やテレビを持ち込むことも可能です。
- きめ細やかな個別ケア: 少人数制のため、スタッフが一人ひとりの生活リズムや好みに合わせたケアを行いやすく、認知症の方も比較的落ち着いて過ごしやすいと言われています。
- デメリット:
- 費用が高め: 従来型に比べて、個室代や管理費(食費や居住費)の負担が大きくなる傾向があります。
- 閉じこもりになるリスク: あまり部屋から出なくなってしまう方もいます。
比較まとめ表
| 項目 | 従来型(多床室・個室) | ユニット型(完全個室) |
| お部屋 | 多床室(4人部屋など)または個室 | 完全個室 |
| リビング | 大きな食堂・共有スペースを大人数で共有 | 10人前後の小さなリビングを共有 |
| プライバシー | 少なめ(多床室の場合) | 高い(自分の空間を確保できる) |
| 費用 | 比較的リーズナブル | 従来型よりやや高め |
| こんな人におすすめ | 費用を抑えたい方、賑やかな雰囲気が好きな方 | プライベートを重視したい方、手厚い個別ケアを |
どちらを選ぶべき?後悔しないためのポイント
特養を選ぶ際、従来型とユニット型のどちらが良いかは、ご本人様の性格やご家族の予算によって異なります。
ご本人の性格を考える
- 「一人の時間が好き、静かに過ごしたい」→ ユニット型
- 「誰かと話すのが好き、賑やかな場所が落ち着く」→ 従来型(多床室)
予算を確認する
ユニット型に入居するが費用が高く従来型へ移る方も多くみられます。
毎月の費用がどれくらい変わるか、事前にケアマネジャーや施設に確認しておきましょう。
実際の施設を見学する
一番大切なのは、「実際の雰囲気」を見ることです。スタッフの対応や、入居者さんの表情、清潔感などを自分の目で確かめることで、納得のいく選択ができます。
まとめ
特養の「従来型」と「ユニット型」には、それぞれ異なる良さがあります。 どちらが優れているということではなく、「その人らしい生活を送れるのはどちらか」という視点で選ぶことが大切です。介護の形はご家族によってさまざま。少しでも不安なことや分からないことがあれば、ケアマネジャーなどに相談してみてください。
介護士の意見(僕の本音)
僕の個人の考えとしては、費用面さえ許すのであれば、「ユニット型一択」です。
- 「長年住む場所」だからこそ、プライバシーは必須
特養は、多くの方にとって人生の最後の住まいとなる場所です。自分自身が「もしここに入居するなら?」と考えたとき、やはりカーテン一枚で仕切られた空間で一生を終えるのは、あまりに寂しいと感じてしまいます。
自分だけの聖域がある安心感: ユニット型の完全個室であれば、思い出の写真を飾ったり、好きな香りを漂わせたりと、自分の色に染めることができます。
精神的な落ち着き: 人目を気にせず眠り、着替え、休む。この「当たり前のプライバシー」が守られているからこそ、利用者様も精神的に安定し、穏やかな表情で過ごせることが多いのです。
- 介護士が「その人」を知るためのユニットケア
スタッフと利用者様の距離が近い: 少人数制だからこそ、私たちは利用者様の「声のトーンの変化」や「些細な好みの違い」に気づくことができます。「今日はいつもより元気がないな」「この方は、こう声をかけると安心するんだ」といった、その人ならではのデータが日々蓄積されていくのです。
「手厚いケア」の正体: ユニット型のケアが「手厚い」と言われるのは、単に介護士の数が多いからではありません。「その人を深く知っているからこそ、その瞬間に最も適切なサポートができる」という、個別ケアの質の高さがそう感じさせているのだと思います。
もちろん、費用面でのハードルがあることは理解しています。それでもユニット型をおすすめする理由は、「人間としての尊厳」が守られる度合いが全く違うからです。
長年住む場所だからこそ、周りの生活音やペースに振り回されるのではなく、自分のペースで、かつスタッフとの深い関係性の中で過ごす。これこそが、介護士が理想とする「暮らしの継続」の形ではないでしょうか。

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